


小型モジュール炉(SMR)は、もはや単なるエネルギー政策のスローガンではなく、上場企業のサプライチェーンをどう評価するかという相場テーマに変わりつつあります。今週の直接の刺激は6月3日の米韓協議で、韓国と米国は原子力協力の次回協議のタイムラインについて話し合い、平和目的のウラン濃縮や使用済み燃料再処理、さらに原子力推進潜水艦構想まで議題に載りました。市場が反応しやすいのは、原子力をめぐる論点が安全保障、燃料サイクル、重工業、輸出管理を一つの画面に並べるからです。
しかも欧州側では、話が理念から実務へ進んでいます。英国では4月にGreat British Energy – NuclearとRolls-Royce SMRの契約が締結され、5月27日にはRolls-Royce SMRが主要機器でSkoda JSと韓国のDoosan Enerbilityを戦略供給先に選定したと発表しました。こうした長納期部材や製造準備の話は、将来像よりも実需に近く、株式市場にとってははるかに重みがあります。
日本の視点もこのテーマを厚くしています。日立とGE Vernovaは3月、BWRX-300の展開機会を探るだけでなく、日本の認定サプライヤーを取り込む方針を示しました。さらに米原子力規制委員会(NRC)は、TVAのクリンチリバー案件を引き続き審査中で、安全審査の節目を2026年11月に置いています。米国の設計、日本の供給網、韓国の重工製造力、欧州の導入案件が、ようやく一つの流れとして見え始めた印象です。
私見では、ここで過度に楽観するのは危険です。契約発表がそのまま短期業績に直結するわけではなく、認可、建設コスト、政治の後押し、資金調達のどれが欠けても評価は急にしぼみます。それでも相場の見方が変わったのは確かで、原子力が“脱炭素の美辞麗句”ではなく、“地政学に支えられた工業能力”として再評価され始めた点は見逃せません。
リスク注意: 本稿は市場解説であり、個別の投資助言ではありません。原子力・SMR関連銘柄は、政策変更、認可遅延、建設コスト超過、地政学、供給網混乱によって大きく変動する可能性があります。
Sources: Reuters via MarketScreener on the June 3 U.S.-Korea nuclear talks; Great British Energy – Nuclear and Rolls-Royce SMR sign contract; Rolls-Royce SMR supplier announcement; Hitachi and GE Vernova BWRX-300 cooperation announcement; European Commission SMR strategy; U.S. NRC Clinch River application page.
原创文章,作者:financial transaction,如若转载,请注明出处:https://www.fanbi.net/archives/274