


今回の注目点は、NVIDIAの一本足相場が続くかどうかではありません。市場の視線はその一段下、つまりAIを実際に動かす物理インフラへ移っています。6月2日、ReutersはHewlett Packard EnterpriseがAIインフラ需要を背景にプレマーケットで約29%上昇したと伝えました。トレーダーが見ているのは単なる好決算ではなく、AI投資がモデルやGPUの話から、実装に必要な設備投資へ拡大しているという確認です。
HPEの6月1日の決算資料もこの見方を補強しています。売上高は107億ドル、Cloud & AI売上は77億ドル、サーバー売上は前年比32.7%増、データセンターネットワーキング売上は233.3%増でした。Reutersによれば、経営陣はエージェント型AIの企業導入拡大を大きな変化として挙げています。要するに、市場はAIを一時的な半導体不足ではなく、企業向けの継続的な設備投資サイクルとして織り込み始めています。
そうなると、日本株でも見方が変わります。光接続の需要が増えるほど、AIファクトリーでは光ファイバーと光ケーブルの価値が高まるからです。5月14日の開示ベース報道では、フジクラの営業利益がデータセンター需要で39.2%増加しました。さらに3月13日のReuters短報では、日本と米国での光ファイバー・光ケーブル生産能力を段階的に現在のおおむね3倍まで引き上げるため、最大3000億円を投資する方針が示されています。これは守りではなく、需要の構造変化を前提にした攻めの資本配分です。
韓国では同じテーマが電力機器の形で現れています。LS Electricの2026年1Q資料は、AIDC、半導体、再生可能エネルギーを背景にした業績の強さと、データセンター市場拡大を明確に打ち出しました。米国ビッグテック向けにスイッチギア、変圧器、配電機器の供給能力を広げる方針も示しています。さらにReutersは5月20日、聯合ニュースを引用し、LS Electricが米国データセンター向け高圧スイッチギアで6400万ドル規模の受注を獲得したと報じました。ここで重要なのは、ボトルネックが計算資源だけでなく、通電までの時間そのものに移っている点です。
欧州は冷却、電力管理、自動化の側面でこのテーマに入ってきます。Schneider Electricは4月30日の1Q売上資料で、データセンターが最大の成長ドライバーだったと説明し、冷却技術、プレハブ型ソリューション、保守を含むライフサイクルサービスで強い需要を確認しました。欧州はGPUの主役ではなくても、AI案件が試験導入から本格稼働へ進む局面で不可欠な電化・熱管理・自動化の領域では極めて重要です。
私の見方はやや強気ですが、買い方はかなり選別的になるというものです。単純に「AIだから全部買い」ではありません。今見るべきは、すぐ配備できるサーバー、ラック間帯域を増やす光ファイバー、そして大規模クラスタに安定して電力を入れる受配電設備です。もしこの論理が続くなら、AI相場の勝ち組はメガキャップ半導体以外へさらに広がります。逆に、電力不足、許認可の遅れ、過剰発注が見え始めれば、これらのインフラ銘柄も急速に評価を落とす可能性があります。
リスク注意: 本記事は市場解説と学習目的の内容であり、投資助言ではありません。AIインフラ関連銘柄はセンチメントの影響が大きく、設備投資計画、電力供給、サプライチェーン、企業需要の変化で急反落する可能性があります。
Sources:
Reuters via Investing.com on HPE’s June 2 surge
HPE fiscal 2026 Q2 results, June 1, 2026
FilingReader summary of Fujikura’s May 14 filings
Reuters brief on Fujikura’s optical-fiber capacity expansion, March 13, 2026
LS Electric 1Q 2026 earnings release
Reuters/Yonhap headline on LS Electric’s U.S. data-center switchgear order, May 20, 2026
Schneider Electric Q1 2026 revenues, April 30, 2026
Schneider Electric AI factory energy automation article, April 7, 2026
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