

レアアースが再び相場テーマとして浮上しています。ただし今回の焦点は、単なる資源保有量や地政学スローガンではありません。米国、韓国、欧州、日本が、中国の外で分離・精製・磁石製造まで含む供給網をどこまで現実に組めるのか。市場が見ているのはそこです。この論点は、鉱山株だけでなく、化学、素材、EV部材、ロボティクス、防衛関連まで評価の軸を変えやすいのが厄介です。
足元の緊張感を強めたのは米国側の材料です。ロイターは6月10日、米国の業界団体が、中国の輸出規制と許認可の遅れによって一部の重要鉱物が「ほとんど入手不能」に近い状態だと訴えたと報じました。レアアース磁石はEVモーター、ロボット、防衛装備、半導体、AI関連ハードウェアに広く使われます。価格が高いだけでなく、調達の確実性そのものが揺らぐなら、市場は利益率より供給能力そのものを評価し始めます。
韓国の動きはかなり具体的です。POSCO Internationalは5月27日、米ReElement Technologiesと共同で、米国内にレアアースの分離・精製プラントを建設し、その後に一貫型の永久磁石生産拠点へ拡張する計画を発表しました。第1段階は年産3,000トン、第2段階で6,000トン、量産開始は2028年を目標としています。ここで重要なのは、これは単なる韓国企業の海外投資ではなく、北米の自動車、ロボット、産業需要に向けて『中国外の磁石供給能力』を先回りで押さえる勝負だという点です。
欧州も同じ問題を別の入り口から見ています。Solvayは6月16日、Viridisとレアアース原料の調達に関する基本合意書を結んだと発表しました。要するに、精製設備だけあっても原料が安定しなければ意味がない、という認識です。市場が『原料』『分離・精製』『磁石製造』を一体で見始めるなら、勝ち筋は採掘企業だけに限りません。化学会社、リサイクル企業、設備関連にも実行プレミアムが付きやすくなります。
日本の動きは派手ではありませんが、方向は同じです。JOGMECは2025年12月16日、マレーシアのECERDCとレアアースなど鉱物資源に関する協力覚書を締結しました。特に高性能磁石の耐熱性に不可欠なジスプロシウムやテルビウムといった重希土類の供給多様化が意識されています。日本は以前からレアアースを一時的な流行ではなく産業安全保障の論点として扱ってきました。日本の静かな分散調達と、米韓の新しい増産計画が同じ方向を向いているなら、この問題は短期騒動ではなく構造問題と見る方が自然です。
私の見方は強気一辺倒ではありません。テーマ自体は本物になりつつありますが、まだ非常に実行依存です。分離、精製、磁石化、リサイクルを現地化できる企業には大きな戦略プレミアムが付く余地があります。一方で、こうした案件は資本、許認可、原料契約、立ち上げ時間がすべて重い。市場は実際の生産量より先に期待で動きやすく、ニュース主導の急騰と失望の反落を繰り返す可能性があります。
今回のクロスマーケットのシグナルは明快です。レアアースはもはや単なる資源テーマではなく、米国、韓国、欧州、日本をまたぐ『ローカライズされた工業能力』の相場になり始めています。相場がそこを見るようになると、埋蔵量だけでなく、酸化物を予定通り実用磁石に変えられる企業が評価されやすくなります。
Sources
Reuters via Yahoo Finance: U.S. business group says some critical minerals are nearly unobtainable from China
POSCO International: first integrated rare earth magnet production complex in the United States
Solvay: rare earth materials sourcing LOI with Viridis
JOGMEC: rare earth cooperation with Malaysia’s ECERDC
リスク注意: この記事は市場解説であり、個別の投資助言ではありません。重要鉱物、素材、EV、防衛、産業関連株は値動きが大きく、供給網プロジェクトは遅延、政策変更、契約不確実性、センチメント悪化の影響を受けやすい点に注意が必要です。
原创文章,作者:financial transaction,如若转载,请注明出处:https://www.fanbi.net/archives/506