

いま市場で本当に面白いのは、ビットコインそのものの上下ではなく、暗号資産パーペチュアルの取引基盤がどう作り替えられるかです。5月29日、米商品先物取引委員会(CFTC)はKalshiのビットコイン・パーペチュアル契約を承認し、あわせてパーペチュアル契約をどう審査するかという政策方針も示しました。同日にはCoinbaseも、CFTCの整理によって米国内の規制業者を通じてグローバルな暗号資産パーペチュアルとオプション流動性につなげる道が開いたと説明しました。これは単なる暗号ニュースではなく、市場インフラの再設計です。
なぜ米国外のトレーダーまで反応しているのか。理由は単純で、パーペチュアルは世界の暗号取引を支配してきた主力商品だからです。Reutersによれば、2025年のパーペチュアル取引高は61.7兆ドルと、前年から29%増えました。これほど大きな市場が米国の規制レールに乗り始めるなら、再評価されるのはビットコイン価格だけではありません。取引所株、ブローカー収益、担保効率、そしてオフショア取引所の立ち位置まで含めて見直しが入ります。
欧州は逆方向ながら、同じくらい重要なシグナルを出しています。Reutersは5月28日、フランスの市場当局AMFが、MiCAの下で6月30日までにEUライセンスを取得しない暗号企業はブラックリスト化や訴追の対象になり得ると警告したと報じました。つまり米国が『規制下で取引量を取り込む』方向へ動く一方、欧州は『厳格な適格性がなければ域内で事業継続は難しい』と線を引いているわけです。この差は、今後の流動性コストや地域別の参加者構成にそのまま効いてきます。
韓国はこの構図の第三のピースです。Korea JoongAng Dailyによると、韓国主要5取引所の暗号資産売買代金は2026年第1四半期に前年同期比56.8%減り、4月は2023年9月以来の低水準まで落ち込みました。記事が強調していたのは、米国のETFや規制ラッパーのような機関投資家の受け皿を韓国はまだ持っていない、という点です。だからこそ米国の新しいパーペチュアル枠組みは、アジアのトレーダーにも他人事ではありません。米国で規制下のレバレッジ商品が厚みを増し、欧州がより厳格になり、韓国が依然として個人主導のままなら、資本は法的な見通しが最も明確な場所へ集まりやすくなります。
市場の雑談もその温度差を映しています。日本の暗号資産メディアは、CFTCが事実上、米国勢を長く閉め出していたパーペチュアル市場への扉を開き直した点に注目しています。一方で欧州系の掲示板やRedditでは、規制強化がレバレッジ需要を消すのではなく、逆にオンチェーンやオフショアへ押し出すのではないか、という見方が目立ちます。まだ結論は出ていませんが、トレーダーがこの話を『価格』ではなく『管轄と市場設計の競争』として見ていることは明らかです。
私の見方はやや強めで、規制された市場インフラには追い風、しかしレバレッジそのものが安全になるわけではない、というものです。CoinbaseやKalshiのように、コンプライアンス付きフローを収益化できるプレーヤーにはプラスでしょう。ただし、パーペチュアルは結局パーペチュアルです。ロールコストを薄め、常時エクスポージャーを取りやすくする半面、タイミングを誤ったレバレッジには依然として厳しい商品です。今回の材料は『米国の配管が改善した』のであって、『清算リスクが消えた』という話ではありません。
リスク注意: この記事は市場観察と取引教育を目的としたものであり、投資助言ではありません。暗号資産デリバティブは価格変動が大きく、規制関連の見出しで急変する可能性があります。
出典:
CFTC: KalshiのBTCPERP契約承認
CFTC: パーペチュアル契約の上場方針
CFTC: Coinbase Financial Markets関連ノーアクション
Reuters via Investing.com: CoinbaseとKalshiが米国で規制下の暗号パーペチュアルを提供へ
Reuters via MarketScreener: フランス当局がMiCA期限で暗号企業に警告
Korea JoongAng Daily: 韓国暗号市場の出来高減速
あたらしい経済: CFTCが暗号資産パーペチュアル方針を公表
Reddit discussion: 米国の規制パーペチュアルと欧州の引き締め
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